小説
FE短編小説 -聖戦の系譜-

ユリウス
その箱に触れてはいけない
その箱を開けてはいけない
それはあなたを壊すもの
それはあなたを再生させるもの

あなたを待つのは空虚
あなたを待つのは戦慄
あなたを待つのは破綻

その箱に触れてはいけない
アーサー
それは、優しい気持ちを知った初めての日
裏も表もない君の笑顔が僕の気持ちを救っていた
いつでも一緒にいたいと初めて思った
一人には慣れていたはずなのに一人でいれない
切なくて嬉しくて涙が出そうになった

ずっとずっと隠していたこの気持ちを君に伝えよう
これから幸せを見つけるために
そして、君と永遠を一緒に感じるために
ティニー
戦いが終わって、兄はヴェルトマー家を、そしてあの人は国を、私はフリージ家を継ぐことになりました。
永遠に会えないわけではないけれど、戦地でいつも一緒だったあの頃を思うと胸が切なくなります。
争いは決して好きではありません。
ですが、あの戦いの時を慈しみ、懐かしく思う気持ちが私の中にあることを否定できません。
愛しい人達との別れはそれ程私を辛く苛んでいるのです。

辛さに負けそうになった時、私は窓辺に立ちます。
窓から吹きぬける優しい風を身に浴び、心を落ち着かせるために。
風はあの人の優しい腕のように、萎えた私の気持ちを静かに満たしてくれます。
会えない辛さは本当だけれど、あの人も私の事を思っていてくれるに違いないと感じる事ができます。

今日も目に見えない力が私を優しく包んでくれます。
「お前の未来と私の未来はつながっているのだよ」と。

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