■Trouble Cat・1■
俺のパートナーはいつもの三つのものを連れてくる。

――女。――自分のダチ。

それと・・・トラブルだ。

***

子供は嫌いではない。むしろ子供の方が扱いやすくていい。しかし・・・

「お嬢ちゃん・・・諦めてパパに新しいの買ってもらいなよ」

「やだぁ!!」

目の前の『依頼人』は、もう大きな瞳にこぼれんばかりの涙をためている。

ったくカワイイ顔しやがってからに・・・

「お願い聞いてあげようよ〜、『おじ様』?」

調子のいい声の発生源をじろりと睨みつけてやった。案の定パートナー――香爆の顔は笑顔からひきつり笑顔になって冷や汗をかく。

「――この街にいったい何匹のネコがいると思ってやがる・・?」

そう、依頼というのはネコ探しである。

香爆が連れて来た小娘の『ミリーちゃん』とやらが家出して、一週間経った今も戻ってこないのだそうだ。

・・・ったく、ネコなんざ発情期が来れば何処へでも行くってのに・・・

しばらくすると香爆が口を尖らせ、

「ほっとけないじゃん?」

ときた。

「『イイ人』っぽく言うなこのフェミニストめ。お前が勝手に引き受けたんだから責任とってお前独りで探せ」

「そ、そんなぁ!!この街にいったい何匹のネコがいると――」

「俺の台詞で正論語るな!!こんなガキから依頼受けて報酬が出るってのか?後で両親に請求するとでも?それともお小遣いから払ってもらうのか、え!?」

思わず声を荒げると、お嬢ちゃんがビクリとしてついに泣き出した。

「あ、ジークが泣かした〜」

「この・・・っ」

怒鳴ってやろうとするが一段高くなった泣き声にくじかれる。

俺は―――

泣き声の洪水の中で、溜息をつくしか無かった・・・

■BY ミキ■
連載小説の欄が何も無いので第一陣ということで♪ご迷惑おかけします(汗) (2004.2.28)